平成26年度の共同利用および重点領域研究の公募を開始しました。
京都大学放射線生物研究センターでは、22年度より共同利用・共同研究拠点の活動 の一環として、重点領域研究を設定し、共同研究への参加を公募します。我が国にお ける放射線生物学のさらなる発展と、この分野で予想される今後の動向、さらに社会 的ニーズ等を考慮の上、下記の2つの研究領域を設定いたしました。それぞれの領域 について、当センターで現在進行中、あるいは想定される研究内容を記載しました が、各領域の趣旨に沿うものであれば、提案される研究内容は強く制限いたしませ ん。また二つの領域にまたがる研究でも構いません。
重点領域の共同研究者は、当センターの実験施設を優先的に使用することができま す。若手の共同研究者には、研究費、旅費等の支援をいたします。
参加ご希望の方は、所定の様式による「重点領域研究申請書」を所属機関の長を通 じ、平成26年1月17日(金)までに京都大学放射線生物研究センター事務掛(〒 606-8501京都市左京区吉田近衛町)へ2通(1通はコピーで可)お送り下さい。な お、従来から公募しております「共同利用」については、今後も継続することを申し 添えます。
共同利用公募についてダウンロード
H26年上半期共同利用研究の公募について
H26年上半期共同利用申請のための参考資料
H26年度上半期共同利用研究申請書
H26年 誓約書
重点領域研究
第一領域
放射線応答を通じた生体の多様性の解明
趣旨:放射線をはじめとする種々のゲノムストレスに対する応答は、生物種、遺伝学的背景、組織特異性、さらに細胞分化の度合い (体細胞vs幹細胞)等によって大きく左右されます。このような相違を引き起こす要因と分子機構を種々の手法 (プロテオミクス、SNP解析、遺伝学的スクリーニングなど)により解明し、放射線応答ネットワークの進化と適応について理解を深めること を目的とします。さらに放射線防護、リスク評価、放射線癌治療、また放射線感受性遺伝性疾患の治療への応用も期待します。ヒト細胞における DNA損傷応答の多様性の解明は、放射線や化学療法による癌治療の戦略策定に分子基盤を与える重要な課題です。本研究では、 効率の高い疾病治療法の創出に向けての展開も視野に入れます。なお、当センター内でこの領域について、現在進行中、あるいは想定される研究内容は以下のとおりです。
- 放射線感受性を示す遺伝性疾患の欠損遺伝子の機能と分子病態の解析、及び疾患治療への展開
- 放射線感受性遺伝性疾患の臨床サンプル収集と分子診断
- 幹細胞特異的な放射線応答の解析
- ヒトがん細胞おけるDNA損傷応答の多様性の解析と癌治療への展開
- シスプラチンとマイトマイシンCによるDNAクロスリンクの評価法の開発
- 損傷クロマチンの動的変化とその多様性
- 組織レベルでのDNA修復活性の測定系の開発と応用
- 損傷応答に及ぼすp53のポリモーフィズムの効果
第二領域
低線量(率)放射線に対する生物応答
趣旨:近年の研究から、低線量放射線によって誘導されうるごく少数のDNA損傷が、幹細胞からの分化・組織構築を介して個体の運命に影響を及ぼす 可能性が示唆されています。それ故、本研究領域では、放射線生物研究センターの主要設備である低線量長期放射線照射装置を基軸に、 細胞微小環境の放射線影響に与える重要性に焦点を当て、低線量(率)放射線の生物組織への作用を解析することを目指します。また、 低線量放射線の生物影響を評価するためのモデル動物・細胞系の構築も、合わせて計画しています。なお、当センター内でこの領域について、 現在進行中、あるいは想定される研究内容は以下のとおりです。
- 低線量率放射線特異的な細胞周期、DNA修復制御機構の解析
- 細胞分化・組織構築に対する低線量率放射線の影響
- 低線量(率)放射線により誘導されるバイスタンダー効果の細胞・組織レベルでの解析
- 放射線感受性の測定法の検討、開発
- 低線量(率)放射線による放射線適応応答の誘導